有給休暇はなぜ取れないか?(前篇)

日本の有給休暇の取得率は47.1%しかありません(平成25年度)。法律で定められた休暇なのに、どうして半分も取れないのか?・・・という素朴な疑問を考えたとき、「権利」とか「義務」とか言うコトバが乱れ飛ぶような状況になるので、一度スッキリ整理したいと思っていました。

いつものことながら、今回書く事も、あくまでも私見です。

で、実際に有給休暇取得をめぐる「権利」と「義務」を整理してみると、ちょっぴり複雑な感じになるので、3回にわけて考えながらまとめていきたいと思います。

第一回目の今回は、法律(労働基準法)で、有給休暇をめぐる「権利」と「義務」がどのように規定されているか確認します。


(年次有給休暇)
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。(中略)
○5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。(以下略)
(労働基準法より引用)


労働基準法 第39条は結構長い条文なのですが、「権利」「義務」といったキーワードに関係あるところを抜粋してみました。ずいぶんシンプルになりましたね。でも、念のために図にしてみます。






図に書いてみても、やっぱりシンプルでした。

結局、「6か月継続勤務、8割出勤」の要件を満たすと、労働者には「有給休暇の時季を指定する権利」が発生し、使用者には「有給休暇を与える義務」が発生するのです。

労働基準法の規定上、有給休暇取得に関する「権利」と「義務」は、以上で終わりです(使用者には、時季変更権がありますけど、時季を変更できるだけで取得させない事はできません)。有給休暇取得に関して義務を負うのは「使用者(会社)」です。「労働者」は、何ら義務を負う事はありません。

しかし、コレでは「有給休暇の取得率が半分以下だ」という理由がわかりません。労働者は「要件」を満たせば「権利」が発生し、その権利を行使すれば、使用者は有給休暇を与える「義務」があるのに、どうして取得率が半分以下なのでしょうか?。

その原因の中でも大きいのは、一言で言えば、「(労働者からみて)有給休暇を取りづらい」という事になると思います。この時、よく聞かれるのは「義務を果たさずに、権利ばかり主張するな!」という使用者側の声があります。

この、有給休暇の取得を阻害していると思われる「使用者側の声」について、どのように思いますか?

いままで見てきたように、労働基準法上、労働者が「有給休暇の時季指定権」を行使するのに、労働者自身が果たすべき「義務」というのはありません(6か月継続勤務・8割出勤というのは、権利発生要件であって義務ではありません)。

では、「義務を果たさずに、権利ばかり主張するな!」という使用者(会社)側の論理は、法律やルールを無視した根拠のないワガママなんでしょうか?。

次回、有給休暇はなぜ取れないか?(中編)では、使用者(会社)側の論理について考えてみたいと思います。

(以下、つづく http://rodojikan.airyplace.jp/2014/08/blog-post_14.html )

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