有給休暇を取得した労働者に対する評価について(予告編)

日本において有給取得率が半分以下だという原因は、「有給を取るのは気をつかう、遠慮する・引け目を感じる…等の“本人の意識”」「他の従業員や取引先などに嫌がられる・妬まれるなどの“同僚や取引先などの周囲の視線”」「経営者・上司から嫌な顔をされるなどの“会社からの評価”」などだと考えられています。

そして、コレらの“有給取得を阻害している要因”について、
単に「本人の意識を変えよう」「他人の目を気にしないようにしよう」「快く有給を取得させるようにしよう」などという精神論では、決して解決しないと思います。

今回は、会社からの評価について、まとめてみます。

労働基準法に基づけば、労働者は有給を取得する権利“のみ”を有し、会社は有給を与える義務“のみ”がある。言葉を換えれば、労働者には有給を取得する権利を行使するのに必要な義務などないし、経営者には有給を与える義務を行使するかわりに主張できる権利などない・・・・というコトです(6か月継続勤務、8割出勤は有給の権利の発生要件です)。労働基準法については、コレだけです。

しかし、一方で、休日・休暇を取るときには、会社業務を円滑に進めるため、“休み前に準備しておくダンドリ” “休み後のフォロー” “休んでいる最中の仕事に対する出勤者への引き継ぎ・連絡”等の休日・休暇前後の勤務日に行うべき業務が存在し、当然その“行うべき業務”が不十分であれば、休むときに引け目を感じるだろうし、周囲から嫌がられるだろうし、会社の評価も悪なるでしょう。根拠となる(労働契約・就業規則に基づく)権利・義務について、前回まで3回にわたってまとめました。

有給休暇はなぜ取れないか 前篇 中編 完結編

読んだ方から、いろいろなご意見、ご感想、ご質問をいただきましたが、その中でも多かったのが「有給休暇を取得した労働者に対する評価について」です。労働基準法136条を見てみましょう。

第百三十六条 使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
(労働基準法より)

たとえば、です。

有給休暇を取得する時に、「休暇前の準備」「休暇後のフォロー」「休暇中の業務について出勤者に引き継ぎ・連絡」をするコトを怠った労働者に対して低い評価をするのは、あくまで、有給休暇をはさむ前後の勤務日の勤務内容に対する評価です。決して有給休暇を取得したコトに対する評価ではありません。

しかし、“有給休暇をはさむ前後の勤務日の勤務内容に対する評価”を低くするというコトは、結果として“有給休暇を取得した労働者に対して、不利益な取り扱い(低評価)”をした事(労働基準法136条違反)になるのではないか?。結局、この件について、(たとえ義務を怠ったとしても)労働者に対して何も言う事ができないのでは・・・というご質問を、ある経営者の方からいただきました。

同じような主張を、労働者側から言われたコトもあります。

「たかの友梨ビューティークリニック」の事件をキッカケに、有給休暇をめぐる労基法違反やパワハラ問題について、労使共に、とても関心が高まっているコトを感じます。

そこで、今回は、有給休暇をめぐる“権利”と“義務”に関する前回のシリーズの続編として、“有給休暇を取得した労働者に対する評価”について、考えてみたいと思います。

(なお、いつも書いているコトですが、このblogは、私の個人的な意見です。免責事項についてもご参照ください)

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