有給休暇を取得した労働者に対する評価について(前篇)

休暇・・・というのは“労働義務を免除された日”のコトです。休日・・・というのは“労働義務が無い日”のコトです。結果として、どちらも労働者は働く必要がありませんので、当然ながら、これらの日について会社は労働者に対して何らかの評価をするコトができません。

けれども、
休暇であれ休日であれ、“労働者が働かない日”があったとしても会社の業務自体は進行している場合があります。その場合は、休暇・休日の前後の勤務日において、労働者は“事前の準備”“事後のフォロー”をする必要があり、場合によっては休暇中の対応を、他の労働者・部署・取引先に連絡・引き継ぎ・根回しする必要があります。

この、休暇・休日前後の日における勤務内容について、会社は評価することができるのでしょうか?。労働基準法136条の問題を考えてみます。

第百三十六条 使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
(労働基準法より)
シンプルな例について考えてみます。
 
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<シンプルな例1>卸売業に勤める“バツ山氏”の評価について

“バツ山氏”は、卸売業を営むA社に勤めています。A社は土曜・日曜が休日です。しかし、A社の取引先である小売店は、ほとんどが年中無休で営業しているので、提携先の倉庫会社・運送会社の協力を得て、年中無休での商品供給体制を整えています。
 
バツ山氏の仕事は、小売店の注文を取りまとめ、商品を手配し、供給のダンドリをつける仕事です。商品の売れ行きを予測し、品切れを起こさないように気を配り、適切な時期に適切な量が小売店へ供給されるようにしなければいけませんが、残念ながら、バツ山氏の仕事ぶりは“最低・最悪”と評価せざるを得ない状況です。
 
ここで評価の対象となる仕事ぶりとは、休日・休暇前後の勤務日において、“事前の準備・ダンドリ”“事後のフォロー”“休暇中の提携先への連携”等に対する仕事ぶりのコトです。とにかく、行き当たりばったりで、まったく計画性がありません。実際に、さまざまなトラブルや不具合が頻発している状況です。
 
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さて、問題です。

A社は、原則“良いものは良い、悪いものは悪い”と評価する会社ですが、バツ山氏が有給休暇を取得した場合、その前後の出勤日に対して“低い”という勤務評価をするコトは、労働基準法136条“有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない”に反する事になるでしょうか?。

私の考えを結論から言うと、「有給休暇前後の出勤日について、勤務評価を“低い”とすることは、かならずしも労働基準法136条に反しない」です

バツ山氏の評価を表にしてみました。

有給休暇と評価(バツ山氏)

表で“有給休暇前後の出勤日に対する評価”と“休日前後の出勤日に対する評価”を比較しました。バツ山氏の勤務内容が、どちらも“最低・最悪”ならば、当然どちらも評価は同じ“低い(-5点)”です。同じ内容について“良いものは良い・悪いものは悪い”と評価したのですから、当然、どちらも同じ評価で変わりません。“不利益な取り扱い”ではないと思います。

以上、“有給休暇を取得した日前後の勤務日の勤務について、勤務評価を“低い”とすることは、かならずしも労働基準法136条に反しない”と考える理由です。

ところで、バツ山氏は、この説明に納得するでしょうか?。あるいは、本当にこういう解釈でいいのでしょうか?。

多くの会社では、勤務評価が低ければ、結果として賃金(当然賞与も含む)が減額される可能性が高まります。昇進などにも影響するかも知れません。“低い”と評価するコトそのものが不利益だといえるかも知れません。

たとえば、バツ山氏から、「法で定められた当然の権利である有給休暇を取得したのだから、前後の出勤日とはいえ、有給休暇と密接に関連のある項目について評価の対象にするコトがそもそもオカシイのだ。評価の対象からハズすべきだ!!

と主張されたらどうでしょうか?。どのように対応されますか?。

このアタリについて、次回、“有給休暇を取得した労働者に対する評価について(中編)”にまとめたいと思います。










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