有給休暇を取得した労働者に対する評価について(完結編)

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いままで色々と書いてきましたが、リクツの上では「“どんな場合もありのままに(適正に)評価する”というのが一番妥当だ」というのが、私の結論です。

 

今回は、リクツの上ではそうなんですが、実務上はどうでしょう・・・というコトについてまとめ、いちおうの完結編としたいと思います。

 

実務上はどうでしょう・・・というコトを考えるのですが、色々なお仕事内容の色々な会社があるので、話をシンプルにするために、今日もA社の例を考えてみます。

 

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<シンプルな例>

A社は卸売業です。休日は土・日で、社員全員が一斉に休みます。計画年休制はとっておらず、有給休暇はそれぞれが指定した日にバラバラに取得します。取引先の小売店は年中無休のところがほとんどなので、提携先の倉庫会社・運送会社と連携して年中無休の商品供給体制を整えています。

 

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リクツと実際の違いを考える時、特に気になる点を3つあげます。

  1. 現実は、バツ山氏ほどデキナイ人もマル川氏ほど完璧な人もめったにいません。みなさん良い所も悪い所も持っている“普通の人”です。
  2. “適正に評価する”と言葉で言うのはカンタンですが、ナニをもって適正といえるのでしょうか?(基準の問題)。
  3. また、評価する人は、適正に評価できるのでしょうか?(評価者の問題)。

 

私は、有給休暇をめぐってトラブっている現場を多数見てきました。その中で、会社側の対応がマズいのではないか・・・と思った例の中から、特に多かった事例を1つご紹介したいと思います。

 

それは、有給休暇を取得した労働者の評価が、次のようになってしまっている事例です。

 

 

実際の事例

 

いつも書いてますが、ここでいう評価とは、休日・休暇中の業務の進行に支障が起きないように、休日・休暇をはさんだ前後の出勤日において“事前の準備”“事後のフォロー”“休日・休暇中に稼働している部署等への引き継ぎ・連絡等”を行う業務に対する評価の事です。

 

この状況を簡潔に書くと“有給休暇を取らなければ何も言われないが、有給休暇を取ったら文句を言われる”という状況です。

 

そうなってしまう理由はカンタンです。従業員の勤務内容が“普通”だからです。“普通”というのは“完璧ではない”と言い換えてもOKです。完璧ではないので、不具合が起こります。けれども休日の場合は全員が休んでいるので顕在化しにくいのです。

 

たとえば休日に、取引先からお叱りの電話がかかってきても、誰も対応する者がいません(全員休んでいるから)。休み明けにお叱りの電話がかかってきた場合は、本人が対応するでしょう。

 

一方、有給休暇中に、取引先からお叱りの電話がかかってきた場合、その時出勤しているダレかが対応しないといけません。

 

つまり、休日中のトラブルは本人がカバーできるので表面にでず、有給休暇中のトラブルは周囲の人間がトバッチリをくらうのでとても目立つという状況です。結果的に、有給休暇を取得すれば、仕事のアラが目立つため評価が下がることになるのです。逆に、休日の場合、休日明けに取引先からのお叱りに懸命に対応している姿は“ガンバって一生懸命仕事をしている”・・・ように見えて評価が上がる場合すらあります。

 

これが労働トラブルに発展するとどうなるか?。従業員から「有給休暇を取ったら、評価を下げられ嫌がらせを受ける」と訴えられたらどうしますか?。

 

会社は「良いものは良い、悪いものは悪い・・・と適正に評価している」と思っています。実際は、表面に見えているトコロだけを“良いものは良い、悪いものは悪い”と評価しているにすぎません。結果として、会社にそのつもりがなくても客観的に見て「有給休暇を取ったら、評価を下げられ嫌がらせを受ける」状況になりがちです。適正に評価しようとするならば、見えていない所も適正に評価しなければならないのです

 

以上、よくあるトラブル事例でした。

 

今まで書いてきたとおり、リクツの上では「“どんな場合もありのままに(適正に)評価する”というのが一番妥当だ」というコトには変わりありません。そして同時に、実務上“不適切な運用になっていないか”常にチェックする必要があります。現場に任せっきりにしていると、会社が意図していなくても不適切な運用(たとえば労基法136条違反)になってしまうかも知れません。

 

キチンとした“仕組み”を確立する必要があります(たとえば、有給を取得する際には、どのように業務を進めておくべきか。周囲の人間は、有給取得した人の業務をどうフォローすべきか。評価者(上司等)は、それらの仕事ブリをどう評価するか)。

 

有給休暇の取得率をあげるための取り組みとして、単に「有給取得は権利なのだから、堂々と申請しよう」「周囲や取引先など、他人の目を気にしないようにしよう」「会社は、快く有給を取得させるようにしよう」などという精神論だけでは、決して解決しないと思います。

 

(なお、いつも書いているコトですが、このblogは、私の個人的な意見です。免責事項についてもご参照ください)

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