副業・兼業と就業時間 徹底チェック!【所定時間外労働を命じた場合】(6)



 今日は「ガイドラインQ&A 事例(3)」を中心に「時間外労働を命じるパターン」を確認します。



 さっそくガイドラインの例を確認してみましょう。

(3) 甲事業主と「所定労働時間4時間」という労働契約を締結している労働者が、新たに乙事業主と、甲事業場における所定労働日と同一の日について、「所定労働時間4時間」という労働契約を締結し、甲事業場で5時間労働して、その後乙事業場で4時間労働した場合。
副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&Aより)

 この事例では、所定労働時間を設定した時点で、甲・乙双方の労働時間を通算しても、法定労働時間を超えていません。所定労働時間を超える実労働時間を「先に契約していた甲事業主」が命じた例です。


(答)

  1. 労働者が甲事業場及び乙事業場で労働契約のとおり労働した場合、1日の労働時間は8時間となり、法定労働時間内の労働となります。
  2. 1日の所定労働時間が通算して8時間に達しており、甲事業場では時間外労働に関する労使協定の締結・届出がなければ当該労働者を労働させることはできず、法定労働時間を超えて労働させた甲事業主は割増賃金の支払い義務を負います。

 (副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&Aより)


 < 確認事項 >

 1.「労働契約上の労働時間」と「実労働時間」

  もはや定番になりました。まず最初に「労働契約上の労働時間」と「実労働時間」について確認していきましょう。

  ガイドラインの実例(3)で、甲・乙どちらが時間的に先なのか、明示的な記述はありません。

 けれども、ガイドラインの(答)をみるかぎり、どちらの実労働時間が先か後か・・・ということは、時間外労働の判断には影響がないものと考えられます。

 以前書いた5つのルールをもう一度確認しましょう。

ルール その5
 通算した所定労働時間が既に法定労働時間に達していることを知りながら労働時間を延長するときは、延長させた各使用者が同法上の義務を負う。

 (この場合)必ずしも1日のうちの後の時刻の使用者でもないし、また後から雇い入れた使用者でもない。
(労働基準法(コンメンタール) 厚生労働省労働基準局編 P530、有泉「労働基準法」P283)

 ルールによれば、下図のように「甲1時間」は、1日のうちの「どの時間帯にあっても」結論は変わらず、「甲1時間が時間外労働」になり、甲事業主が割増賃金の支払い義務を負います。


まとめ

今回の実例(3)は、「労働時間の計算は時の流れに従って計算する原則」とは異なる考え方です。

 他事業場と労働時間を通算して、法定労働時間内におさまるように所定労働時間を定めた事業場での労働について、所定労働時間内で労働する限り、時間外の割増賃金の支払い義務が発生しないことになります。

 甲事業主に注目すると、甲事業場での労働が終わった時点での労働時間は5時間です。これは単独では、法定内労働時間になりますが、副業・兼業を認めた場合、後から契約した乙事業場の所定労働時間の設定次第で、割増賃金の支払が発生することには注意が必要ですね。

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